薬について/精神安定剤(BZD)に注意

精神安定剤(BZD)に注意ベンゾジアゼピン系抗不安薬(精神安定剤)の是非と “精神安定剤”という時代 錯誤な名称について(1,2)
“精神安定剤”や“マイナー・トランキライザー”という言葉は、精神科を除く科の医師が、非常によく口にする用語である。しかし、世界的には、これらの用語を使わないようにしようという方向にある。“精神安定剤”という言葉は、抗精神病薬にも抗不安薬にも催眠鎮静薬(睡眠薬)にも用いるために、どれを指しているのかがわからないためである。また、“マイナー・トランキライザー”という言葉は、軽い薬という印象を医師・患者の双方に与えるが、バルビツレートやベンゾジアゼピン系の抗不安薬や催眠鎮静薬は、依存性や耐性を生じやすく、中止後に離脱症状(いわゆる禁断症状)をおこす危険性もある薬剤である。それゆえ、誤解を防ぐためにもこれらの用語は用いるべきではないのである。

ベンゾジアゼピン系薬剤の力価と半減期(1,2)
ベンゾジアゼピン系薬剤においては、中止時に、表1にみられるような離脱症状(ベンゾジアゼピン離脱症候群)を生じることがある。それゆえ、ベンゾジアゼピン系薬剤の使用を中止する際には、徐々に減量する。ベンゾジアゼピン系薬剤の離脱症は、半減期の短く、力価の高い薬剤(表2,3の左上にある薬物)ほど生じやすい。また、長期間投与するほど生じやすい。特に半減期が短く高力価のトリアゾラムでは、服用した翌日の日中に離脱症状を生じることもあるので注意が必要である。長~超長期作用型抗不安薬や長期作用型催眠鎮静薬においては、離脱症状が出現しにくいとされている。

どうしてもベンゾジアゼピン系抗不安薬を用いたい場合にも、薬物嗜癖に陥る可能性を少なくするために、心気症状や不安が強い時のみの頓服にての投与か、連続投与をするとしても低力価・長半減期の薬剤を1~2週間程度を限度に用いるべきである。2週間以上の連続投与によっても効果がない場合は、ベンゾジアゼピン系抗不安薬を中止すべきである。

*(1)山田和男、身体表現性障害とはなにか?、The Quintessence. 2000; 19(4):705-710
*(2)山田和男、ベンゾジアゼピン系薬剤(精神安定剤)の正しい用い方、TheQuintessence. 2000; 19(5): 927-932
*(3)井川雅子、山田和男、「インプラント治療後、突然不定愁訴を訴え始めた患者にどう対応するか?」Quintessence Dental Implantology. 2004; Vol11,No.1,:53-60 より引用。

*その他の参考文献
井川雅子、山田和男、和気裕之:身体的な原因が見当たらないのに、口腔顔面部の疼痛や咬合の違和感を訴える患者をどう扱うか(II) 歯科評論、Vol. 62 No.3 (2002-3)

 

表1:離脱症状(3)

表2:抗不安薬の力価と半減期(3)

 

表3:睡眠鎮静薬の力価と半減期(3)