舌痛症・口腔内灼熱性疼痛 Burning Mouth Syndrome (BMS)

舌痛症は、正常な舌の尖端や側縁に、ひりひりする持続性の痛みが生じるという病気です。舌だけではなく、口唇(上唇と下唇)、口蓋、歯肉など口腔粘膜の広い範囲にひりひり感(やけどをした後のような痛み)が生じている場合は、「口腔内灼熱症候群」といいます。この2つは痛みの範囲が違うだけで、本質的には同じものです。通常は軽度~中等度の痛みですが、悪化するといても立ってもいられないほど痛み、非常に苦しがる方もいますが、パニックを起こさなければ治りやすい病気です。 (よくある病気で、悪い病気ではありません。)
 

<特徴>

・平均発症年齢 67歳、9割が女性

・不安やストレスと関連して発現することが多い

・検査では異常がないにもかかわらず、舌先や舌側縁にひりひりする痛みが続いている。または、舌や唇、口蓋、歯肉にじりじりと焼けるような痛みが生じている。

・痛みは起きている間中途切れることなく続くが、楽しいときや何かに気を取られている時は痛みを感じない。

食事中は痛みを感じず、食事に支障はない

・カンジダ(カビの一種)や鉄欠乏性貧血などの、舌に痛みを生じさせるような器質的な病気は除外されている。

カンジダ(かびの一種)や鉄欠乏性貧血などでも、同じように舌や口腔粘膜がひりひりすることがありますが、これら器質的異常が実際に存在する場合には、食事時に醤油や味の強いものがしみます。しかし、舌痛症やBMSの場合は、食べることや会話に気を取られることで脳の感覚がごまかされ、食事のさいにはむしろ痛みを感じないのが特徴です。

<原因>

口腔粘膜の神経痛とする説と、心理的要因が引き金となって脳の痛み関連領域が勝手に暴走して、脳の中で痛みの回路ができてしまったとする説があります。いずれにしても悪い病気ではなく、通常は比較的簡単に治ります。

<治療>①と②を併用すると比較的簡単に治ります。むしろ②が大事で、注意をそらすことができない人は、治りにくくなることが多いでする

①薬物療法=脳の興奮を抑える薬

  ◎三環系抗うつ薬(トリプタノール・アナフラニールなど)

5mgから開始し、1-2週間に5mgずつ、痛みが止まるまで増量する(必ず心電図でモニタリングする)

  ◎SNRI(サインバルタなど

  〇クロナゼパム含嗽(1mgを3分間口に含み痛い部位に置く、その後すべて吐き出す。これを一日2回2週間行う。)→効く人もいる。

メリットは局所投与(副作用がない)ということ。

 ②認知療法

脳が興奮しているので、痛みに注意を向けると脳はさらに興奮し、痛みは悪化します。指で触る、鏡で調べるなどの確認行為を止めること、できるだけ痛みから注意をそらすこと、不安や悲観的な考えを頭から追い出すことが大事です。