痛みの治療に使う薬
(このほかにもありますが、代表的なものをあげておきます。)
同じ薬でも、人によって効き方はかなり違います。
したがって、副作用を最小限にしつつ最大の効果を得るためには、どの薬を選択し、どのくらいの量を服用するかを個別に検討しなくてはなりません。
通常は、少量から開始し、徐々に増量していきます。
痛みの薬は即効性がないものも多いので、十分な量を十分期間使う覚悟が必要です。「1週間で止めてしまった」というのでは、出る効果も出ないままで終わってしまいます。
一つの薬には、「一般名(医学用語)」と「商品名(各メーカーによって異なる)」があります。学会などでは、「一般名」で呼びますが、患者さんには「商品名」を伝えるのが普通です。
以下、先頭が一般名で、かっこ内は代表的な商品名です。
* 抗てんかん薬
神経の興奮を抑えて、痛みの信号を伝わりにくくするため、てんかんだけではなく、三叉神経痛・舌咽神経痛などの、瞬間的な激痛に著効します。第一選択薬は、テグレトールですが、副作用や薬疹でテグレトールが使えない場合には、エクセグランを試してみるとよいでしょう。
カルバマゼピン(テグレトール)
ゾニサミド(エクセグラン)
フェニトイン(アレビアチン)
バルプロサン(デパケン)
クロナゼパム(ランドセン・リボトリール)
* 筋弛緩薬
抗てんかん薬単独では効き目が弱いときに、追加する薬です。
バクロフェン(リオレサール・ギャバロン)
* 抗うつ薬
中枢のセロトニン系・ノルアドレナリン系神経を活発にし、痛みを弱める効果があります。特に慢性の持続性の痛み(何年間も1日中続く痛み)によく効きくため、非定型歯痛(顔面痛)、慢性頭痛、慢性の神経痛の第一選択薬です。
三環系抗うつ薬は副作用もありますが、効き目は抜群です。SSRI,SNRIは効き目は弱いですが、副作用が少ないというメリットがあります。
三環系抗うつ薬
アミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)
アモキサピン (アモキサン)
イミプラミン (イミドール、トフラニール)
クロミプラミン (アナフラニール)
ドスレピン (プロチアデン)
トリミプラミン (スルモンチール)
ノルトリプチリン(ノリトレン)
ロフェプラミン (アンプリット)
四環系抗うつ薬
マプロチリン(ルジオミール)
ミアンセリン(テトラミド)
セチプチリン(テシプール)
SSRI
フルボキサミン (デプロメール、ルボックス)
パロキセチン (パキシル)
フルオキセチン (プロザック)
サートラリン (ジェイゾロフト)
SNRI
ミルナシプラン (トレドミン)
*新規抗精神病薬
もともとは鎮静薬の一種ですが、痛みが難治な場合や、「口の中に何かが貼りついている感じ」「唾液がねばねばして飲み込めない」などの異常感覚が長引いている場合などに効果があります。
リスペリドン(リスパダール)
オランザピン(ジプレキサ)
クエチアピン(セロクエル)
*抗躁薬
炭酸リチウム(リーマス)
<使わない方がいい薬>
「抗不安薬(ベンゾジアゼピン=以下の薬)」には依存性と耐性(連用により効かなくなる)の問題があり、痛みの治療には使わないのが一般的です。特に、慢性の痛みには効果があまり期待できません。
日本ではベンゾジアゼピン系薬剤の長期漫然投与が行われていますが、欧米では「毎日使ってはいけない薬」「2週間以上連用してはいけない薬」と認識されています。
エチゾラム(デパス)=抗不安薬の中で、もっとも強力で、依存性や耐性を作ってしまいやすい薬です。
ジアゼパム(セルシン、ホリゾン)
アルプラゾラム(ソラナックス、コンスタン)
ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)
ロラゼパム(ワイパックス)
ブロマゼパム(レキソタン)
クロナゼパム(=抗てんかん薬でもある。リボトリール、ランドセン)
フルトプラゼパム(レスタス)
まとめ
一般名 | 商品名 | ||
---|---|---|---|
発作性の鋭い痛み | 抗てんかん薬 | カルバマゼピン | テグレトール |
(三叉神経痛・舌咽神経痛など) | ゾニサミド | エクセグラン | |
フェニトイン | アレビアチン | ||
バルプロ酸ナトリウム | デパケン | ||
クロナゼパム | ランドセン・リボトリール | ||
持続性のがんこな痛み | 三環系抗うつ薬 | アミトリプチリン | トリプタノール・ラントロン |
(非定型歯痛・非定型顔面痛) | ノルトリプチリン | ノリトレン | |
イミプラミン | トフラニール・イミドール | ||
(舌痛症、口腔内灼熱症候群) | アモキサピン | アモキサン | |
クロミプラミン | アナフラニール | ||
ドスレピン | プロチアデン | ||
トリミプラミン | スルモンチール | ||
ロフェプラミン | アンプリット | ||
三環系抗うつ薬の効果を増強する薬 | |||
新規抗精神病薬 | リスペリドン | リスパダール | |
オランザピン | ジプレキサ | ||
クエチアピン | セロクエル | ||
ペロスピロン | ルーラン | ||
アリピプラゾール | エビリファイ | ||
ブロナンセリン | ロナセン | ||
気分安定薬 | 炭酸リチウム | リーマス | |
抗てんかん薬 | バルプロ酸ナトリウム | デパケン | |
クロナゼパム | ランドセン・リボトリール | ||
神経障害性疼痛治療薬 | プレガバリン | リリカ | |
持続性だが比較的軽い痛み | 抗うつ薬(SSRI) | フルボキサミン | デプロメール・ルボックス |
(舌痛症) | パロキセチン | パキシル | |
セルトラリン | ジェイゾロフト | ||
エスシタロプラム | レクサプロ | ||
抗うつ薬(SNRI) | ミルナシプラン | トレドミン | |
デュロキセチン | サインバルタ | ||
抗うつ薬(その他) | ミルタザピン | リフレックス・レメロン | |