簡易診断
あなたの症状は?
「口腔顔面痛科」を受診する患者さんの病気で、頻度が高いものの典型的な症状です。 ご自分の症状と比較して、それぞれの疾患と照らし合わせてください。
(あくまでも自己診断です。確定診断を得るためには医療機関を受診して、直接診察を受ける必要があります。)
慢性で途切れることがない”原因不明の”歯痛・顔面痛
歯やその周りの歯肉に「ジンジン」「じわじわ」する痛みが、何年も持続している。神経を抜いても、歯を抜いても痛みはとまらない。(医師に「非定型顔面痛」と言われたことがある。) →非定型歯痛(頻度 高)
a) 抜歯や口腔顔面部の手術、顔面の帯状疱疹を経験したことがある。その部分の感覚が鈍くなっている。触るとビリッとした嫌な感覚がある。
→神経障害性疼痛(頻度 中)
b) 脳卒中の後、顔や口腔内に慢性のやけどをしたような痛みが発現、持続している。
→視床痛(頻度 低)
慢性で途切れることがない、舌や口腔粘膜の痛み
(カンジダや鉄欠乏性貧血、口内炎などが否定されている場合)
→舌痛症・口腔内灼熱症候群(頻度 高)
発作的に起こる、瞬間的な顔面の激痛(2-3秒間の片側性の激痛)
f)歯磨きや洗面時に小鼻の横や頬、口の中に、「ツーン」という数秒間の激痛が生じる。「電気が走るような」「カミソリで切りつけられたような」「針で刺されるような」痛み。普段は全く痛みがない。 →三叉神経痛(頻度 高)
g) 三叉神経痛に似ているが、痛みが目を中心に起こる。発作時には痛い側に、涙が出たり、目が充血する、鼻水(鼻詰まりの場合も)などの症状を伴う。
→三叉神経・自律神経性頭痛の中の「SUNCT(サンクト)」(頻度 稀)
食事の最初に起こる、瞬間的なのどの奥の激痛
c) 口を大きく開けたり、飲み込むとき、また味の刺激(酸味や苦み)で、のどの奥、下あごの耳に近いところに、瞬間的な激痛が生じる。→舌咽神経痛(頻度 稀)
60歳以上。食事の最中に起こる顎や側頭部の痛みで、発熱や倦怠感がある。
k) 60歳以上。食事の時、物をかみ始めると顎にだるさや痛みが生じ、食事を続けられない。口も開きづらくなってきた。発熱や倦怠感がある。こめかみや頭皮には軽く触れるだけでも、痛みが生じる。→巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)(頻度 稀)
発作的に起こり、数十分間持続する、顔面片側の激痛、痛い側に涙や鼻水が出る
顔の片側に起こる発作性の顔面痛。目から側頭部にかけておこり、発作中は痛みのある側に涙や鼻水(鼻詰まりの場合も)がでる、結膜充血などの自律神経症状を伴う。
→三叉神経・自律神経性頭痛で以下の3つのうちのどれか。①と②はよく似ていますが、治療法が全く違うので自分はどちらのタイプかを見極めてください。
① →群発頭痛:「上顎の一番奥の歯」に、「のたうちまわる」 ような大激痛が、「発作」のようにおこる。痛みは各30分~3時間、1日2(~8)回程度。発作以外の時には、何でも食べられるし、歯を叩いてみても痛みはない。お酒を飲むと発作がでる。夜中に痛みで飛び起きる事がある。(頻度 高)
② →発作性片側頭痛:眼窩、眼窩上部から側頭部、上あごにかけての激痛発作が、各2-30分、1日5回以上生じる。(頻度 中)
③→持続性片側頭痛:一日中持続する片側の頭痛・顔面痛で痛みは軽度~中等度だが、時々激痛になることがある。約半数の人は、目の中に何かが入っているような異物感を感じている。(自律神経症状は目立ちませんがあるはずです。)
上または下の奥歯に、軽度で持続性の痛みが生じている(数日~2週間ほど)
g)持続性の軽微な痛みが、歯に生じていている。気がつくと、上下の歯がいつもくっついている(わずかにかみしめている)。肩こりも強い。→筋・筋膜痛(頻度 高)
急性の持続性の痛み(1週間以内の発現)
d) 数日前からカゼをひいている。頭痛といっしょに、歯や顔面にうずくような、重い痛みがでてきた。→急性副鼻腔炎(上顎洞炎)(頻度 冬は高)
e) 2-3日から、歯に持続性のキリキリする痛みが発現。痛みは途切れることなく、どんどん激痛化し、夜も眠れない。→帯状疱疹性歯痛(顔面痛)(頻度 中)
d)歯科治療後急速に体調を崩し、日常生活が送れなくなった→「歯科医師のページ」→「歯科治療後の体調悪化」へ
a) 原因不明の顔面痛・歯痛。
歯やその周りの歯肉に「ジンジン」「じわじわ」する痛みが、何年も持続している。神経を抜いても、歯を抜いても痛みはとまらない。(医師に「非定型顔面痛」と言われたことがある。)
1)きっかけ
*歯科処置(抜歯・差し歯・インプラント)後、持続性の痛みが発現
* とくにきっかけはないが、ある時期を境に、激しい持続性の顔面痛が生じた
2) CTやMRIなどの検査で「脳や体には異常がない」といわれている
3) 痛みは耐えがたく、日常生活に支障が出ている
4) 痛みの例:「半年以上も根の治療を終わらせることができない」、「犬歯の先端が上顎に突き刺さるような痛み」、「上・下の前歯6本を針金でぎりぎり締めあげられるような痛み」、「目の下にぐうっと押されるような痛みが持続している」、「顔が割れそうに痛む」、「舌がひりひりする」
5) 痛みのため「歯根端切除術」「抜歯」「上顎洞炎の手術」「骨の生検(バイオプシ)」など、外科手術を受けてみたが治らない
6)内科で三叉神経痛だといわれ、薬(テグレトール)を服用したが、効果がなかった。精神安定剤も効果がない。
7)うつ病ではないといわれている。
→非定型歯痛(特発性疼痛)
b) 歯磨きや洗面時に顔や口の中に、「ツーン」という数秒間の激痛が生じる。「電気が走るような」「カミソリで切りつけられたような」「針で刺されるような」痛み。普段は全く痛みがない。
1) 上の糸切り歯のあたりがツーンとしみる
2) 入ればの下にきりきりという強い痛みが生じる
3) 食事時、食べ物がそこに触れると痛みが生じる
4)触ると痛むので、歯磨きや洗面、髭剃りができない
c) あくびや食事で、瞬間的な激痛が生じる:
(飲み込むとき、大きな口を開けたとき、酸っぱいものを食べたときに、舌やのどの奥、下あごの耳に近いところに、瞬間的に強烈な激痛が生じる。)
1) 口を大きく開けると瞬間的に強い痛みが生じる(涙がでるほど)
2) 顎関節から下顎のエラの部分にかけて、数秒間、突き刺すような痛みが生じる
3) 食事のし始めに、特にひどい
d) 数日前からカゼをひいている。頭痛といっしょに、歯や顔面にうずくような、重い痛みがでてきた。鼻も詰まっている。
1)上顎小・大臼歯部に鈍痛。その歯を硬いもので叩くと、強い痛みが生じる
2)風邪をひいて頭が重い感じがあり、鼻も詰まっている
3) 中顔面(鼻の横)を圧迫すると痛みがある。
4)以前、上顎洞炎(蓄膿症)をやったことがある。
→急性副鼻腔炎
e) 2-3日から、歯に持続性のキリキリする痛みが発現。痛みはどんどん激痛化し、夜も眠れない。(2週間以上続く痛みは、この病気ではありません。)
1)歯に突然「激痛」が生じ夜も眠れない。(痛みは、ここ1週間以内に発現。)
2)歯科医は「歯には異常がない」という
3)鎮痛剤が、全くきかない
4) 発熱、顎の下にぐりぐりができている(リンパ節が腫れている)。
5)ここ1週間ほど疲労がたまっていた
→帯状疱疹ウィルスが歯の神経を犯している(VZV(ウィルス性)歯髄炎)
f) 「上顎の一番奥の歯」に、「のたうちまわる」 ような大激痛が、「発作」のようにおこる。痛みは「1時間」ほど続くが、発作以外の時には、何でも食べられるし、歯を叩いても痛みはない。お酒を飲むと発作がでる。夜中に痛みで飛び起きる事がある。
1) 歯に「のたうちまわるような大激痛!」
2)痛みは毎日、または1日おきに生じる(間が2日以上あくことはない)
3)痛みは、1時間ほど続く。
4)ぐっすり寝ていたのに、痛みの発作で飛び起きたことがある
5) お酒を飲むと必ず痛みが起きる
→群発頭痛
g) 持続性の軽微な痛みが、歯に生じていている。気がつくと、上下の歯がいつもくっついている(わずかにかみしめている)。肩こりも強い。
1) 歯に、かすかだがいらいらするような鈍痛が生じ、一日中持続
2)気がつくと、上下の歯がくっついている。
3)頬の筋肉に、強く押すと痛みがある「ツボ」ができている
4) 頭痛や肩こりを伴う
5) ストレスフル、過労または睡眠不足の状態が続いている
→筋筋膜痛
h)慢性頭痛があり、毎日鎮痛薬を服用している。今では顔や顎まで痛むため、顎関節症の疑いでスプリント治療を受けているが、頭痛も顔面痛も改善しない。
1) 以前から頭痛持ちで、今も毎日頭痛がある
2)1月に15日以上、鎮痛薬を服用している
3)締め付けられるような鈍痛が、頭や顔に生じている
→薬物乱用頭痛(数ヶ月にわたり毎日鎮痛薬を服用すると頭痛は悪化します)
i) 頭痛が生じると、一緒に歯や顎に脈打つような「ドキンドキン」する痛み が起こる
1) 歯や顎に拍動性の疼痛
2) 頭痛と吐き気を伴う
3) 過去に何度か同じ痛みを経験している
→片頭痛
j) 「こめかみが締め付けられるような頭痛」
<顎関節症だといわれたが、頭も痛い>
1) 顎関節症に合併する頭痛
2) 両側こめかみの締め付けられるような痛み
3) 市販の鎮痛剤で痛みが収まる
→緊張型頭痛(≒顎関節症による頭痛)
k)高齢者(通常60歳以上)。食事の時、物をかみ始めると顎にだるさや痛みが生じ、食事を続けられない。口も開きづらくなってきた。発熱や倦怠感がある。こめかみや頭皮には軽く触れるだけでも、痛みが生じる。
1) 60歳以上である
2) ここ数週間ほど、ちくちくするような頭痛と全身倦怠感がある
3) 咀嚼時に咬筋や顎に痛みが発現するため、食事が続けられない
4) 痛くて口を大きく開けることができない
→巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)
l) 脳卒中の後、下顎に「ひりひり」「びりびり」する痛み
1) 片側の下顎に、やけどの後のようなひりひりする痛みが絶え間なく生じている
2) 皮膚や歯肉には異常がなく、歯医者の麻酔(伝達麻酔)も効かない
3) 脳卒中の既往がある
→視床痛