ステロイド

ステロイドのパルス療法

(神経障害性疼痛の急性期:術直後、感覚鈍麻が確認された30時間以内の場合の処方)

術直後は、炎症や末梢循環の破綻による浮腫で神経が圧迫されているため、早期に炎症と浮腫を抑制して、神経線維が不可逆的な変性に陥るのを防ぐことを第一の目的とする。したがって、顔面神経麻痺の治療に準じたステロイドのパルス療法が第一選択となる。本法は時機を逸すると効果がないため、可及的早期(術後1日以内)に開始する必要がある。

処方例1 : プレドニゾロン

プレドニゾロン(プレドニン錠®5mg)30mg/日で開始し、2週間で漸減するパルス療法。なお、年齢、症状により適宜増減する。

プレドニゾロン30mg分3 5-7日間

プレドニゾロン20mg分2 3日間

プレドニゾロン10mg分2 2日間

プレドニゾロン 5mg分1 2日間

処方例2 : メチルプレドニゾロン

日本ではプレドニゾロンが一般的だが、米国では一般的に、メチルプレドニゾロン(メドロール®)による6日間のパルス療法が行われており、以下の6日分の処方がパックになったMedrol Dosepak®という商品がある。薬理学的には、パルス療法では、プレドニゾロンをメチル化し、抗炎症作用を強く、鉱質コルチコイド作用を弱めたメチルプレドニゾロンを用いることが推奨されているためである。なお、メチルプレドニゾロン4mgはプレドニゾロン5mg相当する。

メチルプレドニゾロン4mg錠を:

1日目: 朝食前2錠、昼食後1錠、夕食後1錠、就寝時2錠。

もし神経損傷の確認が午後以降だった場合は、6錠を一度に服用するか、2-3回に分けてその日のうちに服用する。 2日目: 朝食前1錠、昼食後1錠、夕食後1錠、就寝時2錠。

3日目: 朝食前1錠、昼食後1錠、夕食後1錠、就寝時1錠。

4日目: 朝食前1錠、昼食後1錠、就寝時1錠。

5日目: 朝食前1錠、就寝時1錠。

6日目: 朝食前1錠。