その他のさまざまな疾患により生じる歯痛
側頭動脈炎で歯痛:70歳代女。著明な頭痛、側頭部の圧痛や接触痛、全身倦怠感、両側頭部の浮腫、開口障害が出現
- 開口障害を呈した両側性側頭動脈炎の1例:下村 弘幸(高清会高井病院 歯科・口腔外科), 山中 康嗣, 玉置 盛浩, 今井 裕一郎, 桐田 忠昭:日本口腔診断学会雑誌 (0914-9694)23巻2号 Page312-316(2010.10)
悪性腫瘍
疼痛が口腔がんの初発症状であったものは19.2%であった。
- Cuffari L, Tesseroli de Siqueira JT, Nemr K, Rapaport A. Pain complaint as the first symptom of oral cancer: a descriptive study. Oral surgery, oral medicine, oral pathology, oral radiology, and endodontics 2006;102:56-61.また患者の2/3はがんと診断される6か月以内には
鼻咽頭がんは、顔面痛、開口障害、開口偏位、耳の痛みや頭痛と感じられ、TMDや耳下腺病変、歯の炎症に起因する開口障害と誤認されることがある。
全身性のがん(悪性リンパ腫や白血病など)は骨膜や歯肉に浸潤するため、歯や歯周組織の痛みと自覚されることがある。
悪性リンパ腫:ひどい歯痛に悩まされていた33歳の女性.歯痛は患者が横になると大臼歯部に必ず生じた.食欲減退,7%の体重減少
- ain referred to teeth as the sole discomfort in undiagnosed mediastinal lymphoma: report of case, Kant KS, J Am Dent Assoc 118:587-588,1989.
口腔顔面領域への転移がんは、女性では乳がん、男性では肺がんと前立腺がんの転移が多く、下顎後方部、下顎角、下顎枝が好発部位。
顎骨に転移した場合は、痛みは39%に、paresthesiasが23%に生じる。.
転移ではないがんでも迷走神経を介して口腔顔面痛が生じることがある(肺がんなど)。この場合は、痛みは常に片側性で、耳や顎、側頭部に痛みを生じさせる。